コラム
九谷焼 の伝統美:花詰が織り成す豪華絢爛で優美な四季の花々に包まれる世界
九谷焼 の伝統美:花詰が織り成す豪華絢爛で優美な四季の花々に包まれる世界
2024.08.05 #九谷焼の絵柄

【現代九谷の画風 ⑤花詰】

九谷焼 の技法の中でも華やかでありながら、細やかな技術が光る「花詰(はなづめ)」は、大正時代に金沢の名工・水田四郎によって九谷焼に取り入れられたものです。この技法は、器の表面を様々な花々で埋め尽くし、それらの輪郭を金色で縁取ることで、極めて豪華で絢爛たる美しさを生み出します。彩り豊かで密度の高いデザインは、九谷焼の中でも一際人気の高い存在です。

 

九谷焼 金花詰

歴史的背景

花詰技法が九谷焼に導入されたのは、大正二年(1913年)頃とされています。金沢の陶芸家・水田四郎は、九谷焼に新たな表現の可能性をもたらすべく、この技法を導入しました。当時、日本の陶磁器産業は、西洋諸国への輸出を盛んに行っており、花詰技法もその一環として、海外の需要を意識して発展しました。特に、西洋文化の影響を受けたデザインと、日本の伝統的な美意識が融合した花詰は、その時代の九谷焼に新たな風を吹き込んだといえます。

水田四郎がこの技法を導入する背景には、日本の伝統工芸を国際的にアピールするという使命感がありました。彼は、国内外の美術展覧会で九谷焼を紹介し、その技術と美しさを広めるために努力しました。花詰技法は、その華やかさから特に西洋のバイヤーやコレクターの間で人気を博し、日本の優れた伝統工芸品として高く評価されるようになりました。

技法と特徴

花詰技法は、まず器の素地に大小様々な四季の花々を描き、その花の輪郭を金色で縁取ることで完成します。この技法は、極めて繊細な作業であり、職人の技術力が試されます。和絵具や洋絵具を用いて、繊細で多様な色彩を施し、さらに金彩で輪郭を強調することで、花々の美しさを一層引き立てます。

花詰の作品は、通常、複数回の焼成工程を経て完成します。最初に花の輪郭線を描き、これを一度焼成します。次に、淡い色を塗り重ね、さらに焼成を繰り返し、最後に金彩を施して仕上げの焼成を行います。この複数回の焼成によって、色彩の深みが増し、立体感のある仕上がりとなるのが特徴です。

また、洋絵具を使用することで、花の色彩が水彩画のように柔らかく表現され、軽やかな仕上がりを生み出します。これにより、九谷焼の豪華さと繊細さが見事に融合した作品が完成します。さらに、技術的な工夫として、絵具を何層にも塗り重ねることで、より深みのある色合いを表現することができます。

海外での人気

花詰技法で作られた作品は、その豪華さと美しさから、海外でも高い人気を誇ります。中国での人気は言うまでもなく、西洋の美術愛好家やコレクターの間でも評価が高く、花詰作品の価値が認められています。九谷焼は、長い歴史を持つ日本の文化を反映した工芸品として、その色彩やデザインも相成り、海外での展示会やオークションでも注目を集める存在です。花詰技法の華やかさと精緻さは、他の陶磁器とは一線を画すものであり、多くの人々を魅了しています。

また、花詰技法は、現代でも九谷焼の作家や多くの窯元によって受け継がれ、発展し続けています。現代の感性を活かした新しい色彩やデザインが取り入れられ、伝統を守りつつも現代的な新しい作品が生み出されています。

まとめ

花詰技法は、長きに渡る人気の高さと、その華やかさと精緻さで九谷焼の中でも特別な存在です。複数の焼成工程を経て生み出されるこの技法は、職人の確かな技術と感性が融合した結果であり、その美しさは見る者を引き込みます。作り手によって色々な花詰があるので、見比べてみるのも面白いかもしれません。

 

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